Columnコラム

2026.07.12
来栖祐也

お庭で行う夏の暑さ対策について

・水やりのタイミング
 夏場の水やりでもっとも大切なのが「タイミング」です!
 夏場の暑い日には、お庭の植物に良かれとホースで水を撒くことがあると思います。しかし、良かれとしたその行動が逆に大切な植物を弱らせてしまう結果となることがあります。というのも、夏場の暑い日中に水やりをすると土中の水分がお湯並みに熱くなり、その熱により植物の根を痛めてしまうからです。真夏日(気温30℃〜35℃)の場合の土中の水分の温度は以下の通りです。

1. 地表〜深さ5cm(40℃〜50℃以上) 直射日光が当たる土の表面近くは、気温をはるかに超えて50℃近くまで達することがあります。この層に含まれる水分は、いわば「お湯」の状態です。真夏の日中の水やりが御法度とされるのは、この高温化した水分で根が煮えて(根腐れやダメージを起こして)しまうためです。
2. 深さ10cm〜15cm(30℃〜35℃前後) 少し掘り下げると表面ほどの極端な熱さはなくなりますが、それでも外気温と同等の温かさを持っています。水分もぬるま湯のようになっており、植物にとってはまだストレスを感じやすい温度帯です。
3. 深さ20cm〜30cm以上(25℃〜28℃前後) この深さになると地表の直射日光や熱気の影響を直接受けにくくなり、温度がグッと安定してきます。厳しい猛暑を生き抜くため、植物はこの層にある「冷たくて安定した水分」を求めて根を地中深くへと伸ばします。

 夏場に水やりをする際は、午前8時より前、或いは午後5時以降のなるべく涼しい時間が好ましいです。
 ですが、夜の水やりはNGです。その理由は、夜は植物にとっても休眠時間であり、休ませてあげる時間帯です。この時間帯に水やりをすると水膨れ状態(蒸散ができない状態)となり、カビや病原菌を増やして病気にさせてしまうリスクが上がってしまいます。
 ただし、朝や夕方に水やりをする時間がなく、水分不足で植物がしおれてしまっている状態の場合は、朝までに植物が枯れてしまうこともありますので、その場合は、夜に水やりをするのもありです。

 また、水やりを行う際のポイントとして、なるべく根元にたっぷりと撒くことです。というのも、猛暑の場合、葉についた水滴がレンズの役割をしてしまい、虫眼鏡の要領で葉を焼いてしまうことがあるからです。ですが、これは、必ずしもそうなるという話ではなく、そうなることもある程度の話ですので、水やりをする際にちょっとだけ意識されるくらいで良いと思います。

 植物だけでなく、早朝や夕方に駐車場やウッドデッキに打ち水を行うことで、周辺温度を2~3度ほど下げる効果があります。打ち水に使う水はお風呂の残り湯でも十分に効果がありますので、光熱費を下げる対策として是非ご活用下さい。

・日よけと風通し
 明治・大正の時代は、お金持ちの家には日焼けをするための「サンルーム」という部屋が設けられるものがあり、その部屋は日焼けをするために紫外線を通す特殊なガラスを使っていました。日焼け対策が絶対の今と100年前とでは価値観がまったく逆であったわけです。
 お庭屋としては、絶対のお勧めはお庭で行う日よけの設置です。
 植物のあるお庭では、シンボルツリーを使った木陰の利用、それがない場合はサンシェードやタープなどを利用して日よけを行うと、冷房にかかる費用を抑えることができます。
 最近のサンシェードは種類も豊富で、おしゃれなものも多く、家を装飾するアイテムとしても使えます。サンシェードがある場合、木陰がある場合の比較は以下の通りです。

※真夏の気温が35℃、強い日差しが降り注ぐ環境を想定した場合の比較です。

環境表面温度(デッキや地面)周囲の気温 / 体感特徴
直射日光50℃〜60℃以上35℃(強烈なジリジリ感)輻射熱により下からも熱される
サンシェード35℃〜45℃前後約35℃(少し和らぐ)直射日光は防ぐが、気温自体は下がらない
木陰30℃〜35℃前後32℃〜33℃(涼しく感じる)日差しを防ぎつつ、空気そのものが冷やされる

 また、剪定や無駄なものを片付けるなどをすることで風通しをよくし、熱をたまりにくくすることで行う暑さ対策もそれなりの効果があります。
 人間の体感温度は、一般的に「風速が1m/s増すごとに約1℃下がる」とされています。心地よい風が通り抜けるだけで、実際の気温以上に涼しさを感じ、汗の蒸発が促されることで不快指数が大きく下がります。

・土壌の保護と雑草・害虫対策
 夏場は、土中の水分蒸発が激しくなります。バークチップや腐葉土を使いマルチングを行うことで、極端な乾燥や地温の上昇を抑える効果(バークチップを3~5cm敷くことで地表の温度はしていない地表に比べて-10~-15℃ほどになります)があります。更にマルチングを行うことで雑草の発芽を抑える効果も期待できますので、お勧めです。
 また、夏場は一年で最も雑草が成長する時期です。暑い中での草むしりはとてもきつい作業ですが、放置をしていると雑草に土の水分や養分が取られてしまうことになり、更に雑草の草原は害虫の温床となってしまします。根っこから抜かずとも、草刈り機で葉や茎を刈るだけでも十分な効果があります。
 お庭屋としての一番のお勧めは、雑草が生える前にマルチングを行うことです。これだけでは100%の雑草を防ぐことはできませんが、マルチングの上に生えた雑草は根本から抜けやすく、草刈りがかなり簡単にできるようになります。将来的に植物を埋めない場所であれば、除草剤や防草シートを活用することも良いと思いますが、個人的にはマルチングがお勧めです。

・お庭屋の本音
 気象庁のデータでは、気温35度を超える猛暑日は年々増えているそうです。今後、夏になる度、この暑さにどう対処していくのかを考えていかなくてはなりません。
 先ほど、日よけや風通しを行うことで、ある程度の暑さ対策ができるとしましたが、日よけ対策にも、風通し対策にもいろいろなやり方があります。
 例えば、シンボルツリーの木陰とサンシェードを比較した場合、日陰の下の気温は2~3℃程度の違いしかなく、ほぼ同一の効果があると言えます。しかし、ここで問題なのが、素材の表面温度です。猛暑日(気温35度)の場合、サンフェード自体の表面温度は35~45度になるのに対して、木などの植物は蒸散作用があるため、ほぼ外気温と同じか少し低いくらいの温度を保ちます。これは、天然芝と人工芝の場合でも同様のことが言えます。
 ちなみに、この蒸散という植物独自の働きは、葉の裏側にある気孔から水蒸気を発することで、気化熱が起こり、周りの空気を冷却するというものです。自然が豊かな場所に行くと何となく涼しく感じるのはこの蒸散によるものです。
 また、今では当たり前の様に降るゲリラ豪雨ですが、一般の戸建て住宅に設置されている雨水枡は50~100mm/hが許容範囲であり、それに対してゲリラ豪雨や台風、線状降水帯が発生した場合は100mm/hを超える雨量が降る場合があります。そうなると、雨水枡から逆に水が溢れてしまうことがあります。その際、コンクリートや砕石はほとんど水を吸収しないため、水は低い方へ流れていき、どこかの窪みに溜まってしまったりしますが、柔らかい豊かな土壌はかなりの量(50mm/h以上)の水をスポンジの様に吸収してくれるため、水が溢れる事態をかなり緩和してくれます。
 

 結局、自然に対抗できるのは自然だけと言えます。だからと言って、庭を植物で埋めつくすべきだというつもりはありません。というのも、植物は生き物ですから、あればあるだけその面倒を見なければならず、その手間も大変です。
 大切なことは、それぞれのライフスタイルに合わせたバランスを考えることだと思います。そういったそれぞれのニーズをくみ取り、理想的なお庭をデザインするのが私たちの仕事です。
 どんなことでも構いませんので、お庭のことでわからないことがあったら、お気軽にお問合せ下さい。

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